節分といえば、豆まきや恵方巻きを思い浮かべる家庭が多いかもしれません。
一方で、「柊鰯(ひいらぎいわし)」については、名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。
実際に調べてみると、柊鰯は昔から伝わる意味のある風習でありながら、地域差も大きく、今の暮らしの中では必ずしも身近な存在ではないことが分かります。
「やらなきゃいけないの?」「子どもにはどう説明すればいい?」と迷うのも自然なことです。
この記事では、柊鰯の意味や由来、読み方、飾る期間や飾り方、地域による違いについて、できるだけやさしい言葉でまとめています。
子どもに聞かれたときの説明の仕方も紹介しているので、家庭で節分を迎える際の参考になればうれしいです。
柊鰯の読み方は?
柊鰯は、「ひいらぎいわし」と読みます。
「柊(ひいらぎ)」という木の枝に、「鰯(いわし)」の頭をつけたものを指します。
漢字だけを見ると少し難しそうですが、意味を知ると、節分とのつながりが分かりやすくなります。
柊鰯の意味とは?
柊鰯は、鬼や悪いものが家に入らないようにするための魔除け・厄除けとして考えられてきました。
トゲのある柊の葉と、焼いた鰯のにおいを使って、「鬼が嫌がるもの」を組み合わせたのが特徴です。
今の感覚では少し不思議に思えるかもしれませんが、昔の人が「家族が元気に過ごせますように」「災いが起きませんように」と願って生まれた風習だと考えると、身近に感じられます。
柊鰯の由来はいつから?どんな意味があるの?

柊鰯(ひいらぎいわし)の由来は、平安時代(8世紀後半〜12世紀ごろ)までさかのぼるといわれています。
当時の日本では、旧暦の大晦日に「追儺(ついな)」と呼ばれる行事が行われていました。
追儺とは、季節の変わり目に鬼や災いを追い払うための儀式です。
この行事の中で、門や家の入口に「魔除けになるもの」を飾る風習があり、そのひとつが、後に柊鰯へとつながっていきました。
もともとはイワシじゃなかった?
実は、最初から「イワシ」だったわけではありません。
古い記録によると、当初は柊の枝に「ボラの頭(なよし)」を刺していたとされています。
このような飾りについては、平安時代の文学作品である紀貫之の『土佐日記』にも、似た記述が残っているといわれています。
その後、時代が進むにつれて、
- 手に入りやすい
- においが強い
といった理由から、魚の頭がボラからイワシへと変化していき、現在知られている「柊鰯」の形に近づいていったようです。
柊とイワシ、それぞれの意味
柊鰯には、それぞれに役割があります。
柊(ひいらぎ)
- 葉にトゲがある
- 「鬼の目を刺す」と考えられていた
イワシ
- 焼いたときのにおいが強い
- 「鬼が嫌がって近づかない」と考えられていた
この2つを組み合わせることで、鬼や邪気が家に入らないようにする魔除け・厄除けの意味を持つようになりました。
節分に飾られる理由
節分は、昔から「季節の変わり目は、悪いものが入りやすい」と考えられてきた日です。
そのため、
- 家内安全
- 無病息災
- 家族が元気に過ごせますように
という願いを込めて、節分の日に柊鰯を飾る風習が広まっていきました。
別の呼び方もある
柊鰯には、地域や文献によっていくつかの呼び名があります。
- 焼嗅(やいかがし)
- 節分いわし
どれも意味はほぼ同じで、「節分に魔除けとして使われるもの」を指しています。
家庭向けにやさしく伝えるなら
子どもに由来を説明するときは、難しい時代背景まで話さなくても大丈夫です。
たとえば、
「むかしの人が、おうちを守るために考えた節分のおまじないだよ」
「豆まきと同じで、元気に過ごせますようにっていう意味があるんだよ」
こんな伝え方で十分です。
柊鰯は地域によって違う?どこの風習なの?
柊鰯は、全国共通で必ず行われている風習ではありません。
実際には、主に関西地方を中心とした地域で知られてきた節分の習慣といわれています。
昔からの言い伝えや風習が色濃く残っている地域では、「節分には柊鰯を玄関に飾る」という文化が自然に受け継がれてきました。
一方で、地域によってはまったくなじみがなく、「名前も初めて聞いた」という家庭も少なくありません。
私自身、北海道で育ち、子育てをする中でも、柊鰯を実際に飾っている家庭や、店頭で売られているのを見たことはほとんどありませんでした。
豆まきや恵方巻きは当たり前でも、柊鰯については、後から知って「そういう風習もあるんだ」と感じた、というのが正直なところです。
このように、柊鰯は
- 昔から行われている地域
- 名前は聞いたことがある地域
- ほとんど知られていない地域
と、地域差がとても大きい行事です。
そのため、「やっていない=間違い」「知らなかった=失礼」ということはまったくありません。
「地域の風習として根づいているところもあれば、今の生活スタイルや地域性の中で、自然と取り入れられていない家庭も多い」
それだけの違いだと考えると、気持ちが楽になります。
節分は、家庭や地域ごとに形が違っていて当たり前の行事です。
柊鰯もそのひとつとして、「知っているかどうか」「やるかどうか」は、家庭で自由に決めて大丈夫だと思います。
柊鰯はいつからいつまで飾る?
柊鰯(ひいらぎいわし)は、飾る期間がきっちり決まっているわけではありません。
ただ、一般的な目安として知られている期間はいくつかあります。
まず、もっとも多いのは節分(2月3日)に飾り、翌日の立春(2月4日)に片付けるという考え方です。
節分は季節の変わり目の日で、立春は「春の始まり」とされる日。
そのため、「節分で厄を払い、立春を迎えたら役目を終える」という意味合いになります。
よく知られている飾る期間の目安
柊鰯の飾る期間は、地域や風習によって大きく分かれています。
【もっとも一般的】
・節分(2月3日)当日 ~ 翌日の立春(2月4日)
【少し長め】
・節分 ~ 2月末ごろまで
【地域の風習】
・小正月(1月15日)から節分または立春まで
【1年間飾る場合】
・節分から次の年の節分まで飾り、取り替える
(主に西日本の一部地域など)
このように、「何日まで」と決められているわけではなく、その地域で昔から続いてきた考え方に合わせているのが特徴です。
家庭ではどう考えればいい?
今の生活の中では、
- 節分当日だけ飾る
- 写真を撮ったら片付ける
- そもそも飾らない
という家庭も多くあります。
どれも間違いではありません。
柊鰯は「必ずこの期間でなければいけない」というものではなく、節分を意識するきっかけのひとつと考えると、気持ちが楽になります。
子どもに説明するときのやさしい言い方
子どもに聞かれたときは、たとえばこんな伝え方がおすすめです。
「節分の日におうちを守ってもらって、春が来たらおしまいだよ」
「がんばってくれたから、ありがとうって言って片付けるんだよ」
期間よりも、「意味」を伝えるほうが、子どもには分かりやすいことが多いです。
柊鰯の飾り方
柊鰯は、玄関先や家の入口付近に飾ることが多いとされています。
理由は、「外から入ってくるものを防ぐ」という考え方からです。
とはいえ、
- 室内に飾る
- 小さく作って置くだけ
- 折り紙やイラストで代用する
といった形でも問題ありません。
形よりも、「節分の風習として知る・話題にする」ことのほうが大切だと感じます。
片付けるときの考え方
片付ける際には、塩で清めてから紙に包んで捨てるという方法が、昔からよく知られています。
とはいえ、難しく考えすぎる必要はありません。
「ありがとうの気持ちで片付ける」くらいの意識で十分だと思います。
子どもに説明するときのやさしい言い方
子どもに柊鰯について聞かれたときは、むずかしく説明しなくても大丈夫です。
たとえば、
- 「昔の人が、おうちを守るために考えた飾りなんだよ」
- 「節分のときに、悪いものが入らないようにするおまじないだよ」
- 「豆まきと同じで、元気に過ごせますようにっていう意味だよ」
こんな言い方で十分伝わります。
怖がらせる必要はありませんし、「知らなくても困らないもの」でもあります。
まとめ:知るだけでも十分な節分の風習
柊鰯は、節分に必ず用意しなければならないものではありません。
意味や由来を知って、「こういう風習があるんだ」と分かるだけでも、十分だと思います。
行事は、完璧にそろえることよりも、家庭に合った形で、無理なく取り入れることがいちばん大切です。
今年の節分は、「知った」「話した」「ちょっと考えた」それだけでも、立派な行事体験になるのではないでしょうか。
